タイトル:最悪なる災厄人間に捧ぐ
製造元:ケムコ
価格:3,056円
容量:655.0MB
ジャンル:テキストアドベンチャー
発売日:2018年9月20日

概要

限りなく透明で残酷な”災厄世界系”ノベルADV

「透明人間」のクロと、「透明人間しか見えない・聞こえない」豹馬。
出会うべくして出会った2人に、数々の不思議な出来事が訪れます。
開かれるパラレルワールドへの扉。
来訪する他世界のクロ、不気味にささやく幽霊……それでも平穏を望む2人に、世界は恐るべき牙を剥きます。
“災厄”が発生し、全てが無残に奪われ、滅び、死に絶え、そして全てが繰り返されるのです。
何度でも。
ただ、豹馬の望みが絶たれるまで。
全てを終わらせようとする残酷な意志に、彼はどう立ち向かうのでしょうか。
透明人間とは? なぜ世界は滅びを繰り返すのか? 幽霊の正体と意図とは?暴かれる深い心の傷に、きっと衝撃を受けるでしょう。
描かれる究極の選択は、きっと落涙をさそうでしょう。
無数の死と別れを乗り越え、他のパラレルワールドと力を合わせ、謎を解き、活路を探しましょう。
複雑な世界構造を図解し、いつでも既読箇所を読み直せる、便利な「あらすじ」機能を搭載。
快適な物語体験を約束します。
100万もの文字を尽くして語られる、この世で最も孤独な少年と少女の物語。
閉じたセカイで紡がれる、限りなく透明で残酷な“災厄世界系”ノベルADVを、あなたに。

動画

筆者レビュー

限りなく透明で残酷な物語―――かつて、ここまで表現を狭めて成功したノベルゲームがあっただろうか?
ケムコの『最悪なる災厄人間に捧ぐ』は正にそれを表現したアドベンチャーゲームだと思う。

物語としては主人公である豹馬がパラレルワールドを通じて5人のクロを救う物語。
その内容は今となっては使い古されたとトリックも含まれるかもしれないが、切なく、悲しく、それでいて美しいストーリーは他にあまりないのではないかと思う。
しかもそれが3000円で体験できるというのだから驚いてしまう。

登場人物は豹馬とクロ。
そのほかに幽霊やらモブキャラやら当然いるわけだが立ち絵として出てくるのは5人のクロだけ。
低予算で開発したことを逆手にとって、うまく設定が溶け込めている。

バッドエンドが用意されているもののストーリーはほぼ一本道。
『かまいたちの夜』を想像するよりも『ひぐらしのなく頃に』のゲーム性を想像してもらうとわかりやすい。
選択肢もあるにはあるが、やはり文字を読んでいくノベル性が強い。

その分、述べるゲームが好きな人であれば、是非プレイしてもらいたい。
この系統のゲームは魅力を書こうと思うとどうしてもネタバレになってしまうのだが、決して恋愛ものではない。
むしろクロの織りなす世界の謎を解き明かしていくほうに重心が向けられている。
残虐表現もあるが設定によってある程度マイルドにすることは可能なので、そういった表現が苦手な人にもプレイして頂きたい。

筆者が驚いたのはヒロインのクロは好きなソフトクリームの味が違う5人のクロが存在しているわけだが、その演じ分けを『小鳥遊ゆめ』さんという声優さんが一人でやっていることである。
5人のクロはそれぞれ以下の通り性格が違います。

ふー:豆腐味のソフトクリーム好き。まとめ役で清純派少女。
キナ:キナコ味のソフトクリーム好き。ジト目なしっかり者。勉強ができる。
みー:みそ味のソフトクリーム好き。運動が得意、わんぱく少女。
なつ:納豆味のソフトクリーム好き。元気いっぱい、甘えん坊にみえて実はしっかりしている。
にゅー:豆乳味のソフトクリーム好き。おっとりのんびり系少女。

この5人を見事に演じ分けているのは凄い!
で、調べてみると『小鳥遊ゆめ』さんはほとんど他の作品に出演していません。

唯一、同じケムコ製のノベルアドベンチャーゲームである『アーキタイプ・アーカディア』に出演していました!
2023年2月時点では、『最悪なる災厄人間に捧ぐ』と『アーキタイプ・アーカディア』以外の出演作は無いようです。
ここまでうまいのだからもっと色々な作品に出演しても良いと思うんですけどね。
https://www.kemco.jp/game/archetypearcadia/ja/#character

さて、このゲーム。ノベルだから読めばすぐ終わるだろうと思いきや40時間ぐらいかかります。
しかも、最初のほうは日常編で正直退屈です。
面白くなるのは残虐表現が出てくる中盤あたりからです。ここから面白さジェットコースターです!!
トゥルーエンドが終わってもエクストラステージがあります。
ここまで読んで世界の謎が解明されるので、是非最後の最後まで読んでください。

調べてみるとスイッチだけでなく
PS4やスマホアプリとしてAndroid、iPhoneでも発売されているようです。
ノベルゲームという特性上、ぼかしながらの語りになってしまいましたがSwitchを持っていない人も一度はプレイしてほしい作品です!

クチコミ・評価・レビュー

・人間が見えない、声が聞こえない設定をうまく昇華して表現に生かしている。

・ストーリーは素晴らしい。

・テキスト量が多く、コスパは良い反面、ゲーム性が乏しく死亡シーンや残虐シーンを考慮すると万人にオススメできるわけではない。